第108回平均点高すぎ!大丈夫かな?
2023年2月18(土)・19日(日)に実施された第108回薬剤師国家試験。平均点が例年より高いことで話題になっています。平均点やボーダー、実際に受けて感じた難易度について薬学ゼミナール自己採点システムの結果から“徹底分析”してお伝えします。
また、当日にあった出来事や試験会場の様子もいち早くお届け!第109回受験の皆さんの参考になれば幸いです。
第108回薬剤師国家試験ボーダー速報
2023年3月22日14時に第108回薬剤師国家試験の合格発表が行われました。
合格点 | 235点/345問 |
受験者数 | 15334人 |
合格者数 | 9602人 |
合格率 | 69.0% |
平均点が例年よりも、15点以上高く様々な予想がありましたが、第106回から適応されている、完全相対基準でボーダーラインが設定されました。
合格判定が完全相対基準に変更されて以降、3回目で初めて225点を超えるボーダーラインとなりました。今回の結果から、第109回以降に受験される方は、点数よりも自分の居る位置をしっかり確認して勉強する必要がありそうですね。
実際に試験を受けて
平均点・ボーダーについて(予想)
薬学ゼミナール 第108回 薬剤師国家試験 自己採点システムより
平均点:253.7点(73.5%) 登録人数:12025人 3月24日現在
例年に比べ15点以上平均点が高く、70~80%の得点率の受験者が半分以上を占めています。どこで切られるのか、第108回受験者は合格発表までハラハラドキドキかと思います。
※2023年3月22日に結果発表が行われました。結果は下記に掲載しております。
4 合格基準
薬剤師国家試験のページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
以下のすべてを満たすことを合格基準とすること。なお、禁忌肢の選択状況を加味す
る。
① 問題の難易を補正して得た総得点について、平均点と標準偏差を用いた相対基準に
より設定した得点以上であること。
② 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点
がそれぞれ配点の30%以上であること。
厚生労働省には上記のように記載があります。第105回までの65%にあたる225点以上取れれば合格といった基準から、第106回からは完全相対基準に変わり225点をとっても不合格になる可能性があるといった内容です。
合格点 | 得点率 | 合格者数 | 合格率 | |
第101回 | 223 | 64.6 | 11,488 | 76.8 |
第102回 | 217 | 62.9 | 9,479 | 71.6 |
第103回 | 217 | 62.9 | 9,584 | 70.6 |
第104回 | 225 | 65.2 | 10,194 | 70.9 |
第105回 | 213 | 61.7 | 9,958 | 69.6 |
第106回 | 215 | 62.3 | 9,634 | 68.7 |
第107回 | 217 | 62.9 | 9,607 | 68.0 |
平均 | 218 | 63.2 | 9,992 | 70.9 |
最大値 | 225 | 65.2 | 11,488 | 76.8 |
そこで仮に、薬ゼミ自己採点結果(3月20日現在)から下記の基準でボーダーを引くとすると
①226点以上 10180/11999(人) 合格率:84.8%
②246点以上 7906/11999(人) 合格率:66.0%
③過去の合格率の平均 70.9% 8507/11999(人)
①65%超えでは合格率が約85%と例年にはない高い合格率になってしまいます。②71%超え246点以上で合格率は66%。246点以上の方は合格発表まで安心できそうです。③過去の合格率の平均70.9%で切るとします。その場合点数的には226~246点の間です。
過去の合格人数、分布と比較しボーダーは65%以上になる想定が必要かもしれません。しかし、自己採点には全員が登録しているわけではない事、打ち込みミスや解答が違う可能性がある事、薬学生の学力が上がっている可能性があり、大幅な点数でのボーダー変更はされない可能性もあります。
あくまで私の予想ですが、上記考察から今回のボーダーは225~235点。希望は225点。来年は合格者数でのボーダーライン、問題の難化での調整となるのではないでしょうか。
実際に受けて感じた難易度
1日目①午前 必須問題 例年と差はないと感じました!
問72 長井長義によって世界で初めて単離されたのはどれか。1つ選べ。
こちらは非常に話題となった問題です。この問題だけはいくら考えたところで知らないとわからない問題であり、物議を醸しています。法規・制度・倫理からの出題でしたが、理論や実践の1記述で出るくらいならまだしも、他の基本問題が良いではないかと思いました。
1日目②午後 理論問題 複雑な出題方法がありましたが、一度は触れた内容で構成!
すべての選択肢がわからない、一度も触れたことのない内容の問題は無かったと思います。過去問の記述や、選択肢を理解していたら対応できた問題はいくつもありました。印象的なのは衛生の範囲に反応式や構造式が例年とは違う聞き方で出ていたことです。この先注意が必要かもしれません。
1日目③午後 理論問題 薬剤が難しく、他は例年と差がないと感じました!
模試や卒業試験と比べて薬剤の点数が伸びませんでした。理由としては、得点源としていたクリアランスやミカリエスメンテンの計算問題の出題がなかったことが挙げられます。薬理や病態・薬物治療は多少過去に見たことのない問題がありつつも、予備校の授業や大学の講義でカバーできていました。
2日目①午前 実践問題 1つ選べ。誤ったものを1つ選べ。が多く感じました!
問題の難易度的には例年と差はないと感じます。しかし、解答が1つ選ぶものや誤ったものの選択が多く、深読みをすることがなくシンプルに回答をすることができ点数は上がったと思います。
2日目②午後 実践問題 患者背景は書いてありますが、処方薬と選択肢で十分でした!
薬剤師国家試験あるあるですが、長々とかいてある患者背景の中で問題を解くのに必要な情報はあまりありませんでした。真面目に読んでいたら、変に迷ってしまいそうでした。
2日目③午後 実践問題 患者背景には重要事項があり、実務は戸惑いの連発でした!
病態・薬物治療を解くにあたっては患者背景は重要事項がたくさん記載されていました(当たり前ですが^^)実務では例年薬剤で出ている計算がでてきたり、スウィーティーが出てきて話題となりました。※スウィーティーを知らなくても問題は解けます
全体を通して
例年の国試と比べて、「これは初見じゃ解けないだろう!」といった奇問が減った気がしまます。また、各予備校の先生方が分析されている通り、1つ選べが多かったこと、個人的にはやまかけがよく当たっていることが平均点上昇につながったのではないかと思います。
筆者のプロフィールはこちらです。点数の推移等も記載しています。
当日のアクシデントや試験場の様子
最寄り駅に受験生が居ない!?
無事に会場最寄り駅に到着。スマートフォンで地図を見ながら会場に向かう途中、受験生らしき人が全く見つからない!会場の大学間違えた?
とても不安になりました。しかし、私は多くの人が通る道と別の道を通っていただけで、決して間違えていたわけではありませんでした。
私は他の受験生の話が耳に入ってくると、「あ、それなんだっけ…」「覚えてないな…」と焦りや不安につながってしまうので、結果的に良かったです。とはいえ、会場間違いなんてことが起こったら大パニック!卒業試験が終わったら息抜きも兼ねて一度会場に足を運んでみると良いかもしれません。
寒い!狭い!荷物どうする?
指定された教室に入り、席に着くと、寒い!荷物の置き場が無い!
こんなこともあります。空調に関しては皆さん想定していることかと思いますが、第108回の試験日、関東では最高気温が19℃!ちなみにその前の週には雪が降っていました。なんという高低差でしょう…教室の空調からは冷たい風がでており、気温的には暖かいけれど念のため持ってきていたUNIQLOのウルトラライトダウンを着て受験しました。
そして、荷物の置き場が無い件について。筆者が受けた会場では1つの机に椅子が5個のタイプで、間隔を1つずつ開け3人ずつ…ということは、余りの椅子は2個です。
〇×〇×〇 通路側に荷物は置けないので、3人で2つの×のスペースをシェアします。隣が気を使ってくれる方だと良いのですが、勉強に集中していたら声をかけるにも気が引けます。また、上着は椅子に掛ける事がNGのため、鞄と共に×のスペースか足元です。汚れてしまうのが気になる方は袋を持参することも検討しましょう。
イヤホンの充電が切れてる!
イヤホンを装着しお手洗いに並ぼうとしたところ、イヤホンの充電が無い!
こんなこともありますよね。動画を見ると決めている方は、念のため有線のイヤホンを持って行くことを推奨します。
試験会場の様子・緊張感
ほとんど会話をすることなく資料を眺めている人が大半です。
中には友達と話している人も居ますが、周りに合わせて静かになるか教室から出て一緒に勉強するパターンですぐ解決するでしょう。また、誰も話していない環境ではそれなりに緊張感が生まれます。しかし、自分自身も勉強に励んでいたらあっという間に試験時間になるはずです。
もし周りが自分の知らない資料を見ていたり、素晴らしいまとめノートを見ていると不安になることがあると思います。卒業試験をクリアしてここまで来ていることを忘れないようにしましょう!マニアックな範囲で自分だけ点数を取りに行くよりも、自分が持っている頻出の知識で解ける問題を落とさない方が何百倍も大事です。
下記記事では、薬剤師国家試験1日の流れとよくある質問について詳しく解説しています。
最後に
今回は、第108回薬剤師国家試験を受けた上での自己採点結果やボーダーの分析。また、当日の様子についてお伝えしました。
第108回を受験された方の中には、2023年3月22日まで気が休まらない方もいるかもしれません。しかし、何をやっても結果は変わりません。一旦頑張った自分へのご褒美やリフレッシュができる3月を過ごせるように願っています。
また第109回受験予定の皆様に有益な情報をこれからもお届けできるように、ちょっとした体験や感想も日々更新していきたいと思っています。また閲覧いただけると嬉しいです♪